家庭用金庫の選び方。耐火と防盗は別の性能
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貸金庫を解約して権利証や印鑑、貴金属を自宅に置くなら、家庭用の耐火金庫が候補になります。ただし「金庫」と一口に言っても、守れる物と守れない物がはっきり分かれています。買う前に 4 つの点を確認してください。
1. 耐火金庫と防盗金庫は別物
市販の家庭用金庫の多くは 耐火金庫 です。火災の高熱から紙の書類を守る製品で、庫内温度を一般紙が燃えない 177℃以下に保つ試験(JIS S 1037)に合格しています。
耐火金庫は、金庫破りに耐える性能を備えていません。盗難に対しては、工具による破壊に一定時間耐える 防盗金庫 という別の区分があります(日本セーフ・ファニチュア協同組合連合会の防盗試験)。耐火金庫に「耐工具 15 分(TS-15)」の表示がある製品もありますが、これは耐火金庫の防盗性を補う試験で、防盗金庫の規格ではありません。
| 守りたい物 | 向いている製品 |
|---|---|
| 権利証・契約書・遺言書・印鑑 | 耐火金庫(一般紙用)+床への固定 |
| 貴金属・現金など持ち去られて困る物 | 防盗金庫、または民間貸金庫 |
| USB メモリ・ハードディスク・フィルム | 一般紙用の耐火金庫では守れない。記録メディア用のデータセーフ |
2. 耐火時間は 1 時間以上
JIS の耐火性能は 0.5・1・2・3・4 時間の 5 区分です。家庭用では 1 時間以上が目安で、より確実に守りたい場合は 2 時間を検討します。メーカー資料によると、木造建物は通常の火災でおよそ 30 分程度で全焼、鉄筋コンクリート建物は各フロアが 60 分程度で鎮火します。30 分耐火の小型製品もあるので、「耐火」の表示だけでなく時間を確認してください。
3. 固定して持ち去りを防ぐ
小型・軽量の金庫は、金庫ごと持ち去られます。空き巣への対策は、金庫の性能より「持ち出せないこと」です。
- 重量 50kg 以上の製品を選ぶ。重いほど持ち出しが難しくなります。設置場所の床の耐荷重も確認してください。
- 床にアンカーで固定する。メーカー純正の固定金具や簡易固定装置があり、地震時の転倒・キャスターでの自走も防げます。
- 手提げ式の小型金庫は、火災時に持ち出す用途には向きますが、盗難対策にはなりません。
- 置き場所は人目につかない所に。家具型のカバーで金庫と分からないようにする製品もあります。
4. 耐火性能の耐用年数は 20 年
耐火金庫の耐火材は、含まれる水分が熱で気化するときの気化熱で温度上昇を抑える仕組みです。水分は年数とともに減るため、メーカー各社は 製造後 20 年 を耐火性能の目安とし、買い替えを勧めています。親から引き継いだ古い金庫は、鍵が動いても耐火性能は期待できません。製造年は扉裏のシールで確認できます。
鍵の方式
| 方式 | 利点 | 注意 |
|---|---|---|
| シリンダー(鍵) | 操作が簡単、安価 | 鍵の保管場所が必要。紛失時は業者による開錠 |
| ダイヤル | 鍵の紛失がない | 番号を忘れると開けられない。慣れないと時間がかかる |
| テンキー(電子) | 番号を変更できる | 電池切れ・故障。非常用の鍵の保管が必要 |
| 指紋・静脈 | 番号も鍵も不要 | 価格が高め。登録した本人以外が開けられないので、相続時に備えて家族の指も登録しておく |
高齢の方が使う場合は、ダイヤルの番号や電子錠の暗証番号を 本人以外の誰かが知っている 状態にしておかないと、相続のときに金庫を壊して開けることになります。相続で親の貸金庫を開ける手続き と同じ問題が自宅の金庫でも起きます。
水害への備え
耐火金庫は密閉されているため水濡れには強い一方、浮力があり水害時に流されることがあります。津波や浸水の想定区域では、防水ケースに入れてから金庫に収める二重の対策が勧められています。
まとめ
- 書類中心なら、1 時間耐火以上・50kg 以上・床固定の耐火金庫。
- 貴金属や持ち去られて困る物が多いなら、防盗金庫か 民間の貸金庫 を検討。
- 20 年を過ぎた金庫は買い替え。
- 暗証番号・鍵の保管場所は家族と共有。
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出典
- ALSOK「家庭用金庫の選び方」(確認日 2026-10-21)
- エーコー 家庭用金庫カタログ(耐火性能の仕組み・耐用年数 20 年・火災の継続時間)(確認日 2026-10-21)
- ナイキ 金庫カタログ(日セフ連の表示シール・TS-15 の位置づけ・耐用年数)(確認日 2026-10-21)
- JIS S 1037:2013 耐火金庫(日本産業規格)